One Trick Pony

No Trick Man

What should I do?

あけましておめでとうございますから一発目の記事。
めちゃくちゃ長いし文章だらけなので、暇つぶしがてらにでも。


マスター以下の人向けのプレイングに関する記事。

カードゲームをやる上での考え方について
俗に言う上手い人は何を考えた結果どういったプレイをしているのか、その思考プロセスの言語化した話。

長いのでとりあえずPartIのみ。反響があれば次もやる。

目次

Part.I ゲームのセオリーについて

基本的に、カードゲームというものは読み合いを制することでゲームを有利にすることができる。
この読み合いというものは自分がいくら上手かろうと、相手に合わせてレベルを変えなければいけないものだ。
この読みのレベルというものを細分化したのがLeveled thinkingという考え方だ。
基本的には相手のレベルの一つ上のレベルを自分がアクティブ(使用)することでどんどん有利な場になっていく。

本家
http://magic.tcgplayer.com/db/article.asp?ID=10632

翻訳

Level 0:私は今何を持っているのか?

基本的にカードゲームの判断は大抵このレベル0で行われている。レベルは下のものから積み上がっていくもので、より高いレベルは全てこのレベル0の考えがベースとなっている。

例えばレベル0の判断は以下のようなものになっている。

  • 私は《荒野の旅人》でどのベースミニオンをサーチしてくれば良いか?(多色デッキ時)
  • どのコンボパーツが足りず、探してくる必要があるか?
  • 今、私が《麒麟》を出せば対戦相手にどれくらいのダメージが与えられるか?
  • 手札にある《ダスカース》を最高のマナ効率で出す方法は?

これらの問いは、どれも自分のカードにのみ関連しているということに着目してほしい。相手が何をもっているかはこのレベルでは影響されない。
通常このレベルでミスをするプレイヤーは非常に簡単なケースを除き、レベル1のプレイをすることができない。

相手の持っているものを考慮しながらもレベル0に入るものもある。

  • 私の《ダンシングカトラス》で攻撃ができるようにするため、手札にある《デストラクション》で相手の《ポリン》を殺すことができる。

この例は対戦相手が既に出しているカードを考慮しているが、レベル1に達していない。レベル1とはどういうものかというと、「(公開情報を超えて)相手は何を持っているか?」というものだ。
レベル0の判断は完全に公開情報のみに基づいて行われ、自分のデッキ以外の非公開情報は考慮しない。
例えば、以下の例はレベル0の中で最もレベル1に近く、それゆえに相手がレベル1を使えるかどうかの指標になるが、これはレベル0だと考える。

  • これが次善の手になるには、何をドローすればいい?

あなたは《碧の秘術書》を持っており、今すぐ唱えることと待つことのメリットについて考えているとき、この種のレベル0判断によく直面する。
例えば、今すぐ唱えた場合、次のターン以降の《碧の秘術書》に使うマナを減らすことができるので、マナが足りないという問題は確実になくなる。何も考えなければ、今唱えるのがベストだと思えるだろう。
しかし、唱えるのを遅らせると、自分のドローや相手の展開に合わせて、その場面で最も欲しいカードを選ぶことができる。


Level 1:(公開情報を超えて)相手は何を持っている?

多くの判断はレベル0で行われるとはいえ、レベル1の判断もありふれており、一般に1ゲームに数回は発生する。レベル1の判断はまずレベル0の情報をベースにするが、もう一歩先まで踏み込んで、対戦相手の手札、デッキ等にあるカードという我々にとっての非公開情報にいかに配慮するかを考える。
どこからどこまでのカードが相手の手札にあり得るかを思い浮かべ、それらを確率によって順位付けすることがゴールだ。これはそもそも途方も無い作業で、特に時間制限のあるマッチではなおさらだ。そこで、もっともありふれた(もしくは優先度の高い)カードだけが相手の手札にあり得ると考えることで我々はよくショートカットする。けれども理想的には、全ての可能なカードの組み合わせを相手が持ちうると考えたくなるだろう。


例えば以下のような考えがレベル1の判断に含まれる:

  • あの1枚の緑マナから相手は何をフラッシュタイミングで唱えてくるだろうか?
  • 相手が手札に残している可能性のあるミニオンは何だろうか?それに備えてこの除去呪文を残しておいた方がいいだろうか?
  • それから数ターンの間に相手が引くカードはどんなものだろうか、この《コウモリの撹乱》はいま撃たずな持っておいた方がいいだろうか?

見ての通り、レベル0とレベル1の判断の重要な違いは、対戦相手が持っている/持ち得るものに関する非公開情報をレベル1では考慮していることだ。
このレベルのアクティブの指標は、あなたの白マナが起きているときに相手が《リアクティブシールド》をケアしてきたことや、《ライトニングフォール》をケアするために《ライトニングフォール》が場に出るのを待ってから重要な無色のカードをプレイしてきたことだ。
非アクティブの指標は、これらの「罠」をケアせず踏み込んでくることだ。注意点として、特にゲーム序盤では、これらをケアしないことが相手にとって正しいプレイである場合もある。この場合、真相が次の3つのうちどれなのかをあなたは見極める必要がある

  • 対戦相手の使えるレンジは0である。もしも、使えるレンジが0だと示すプレイを何度も相手がしてくるようならこの可能性が高い。
  • こちらの《リアクティブシールド》や《ライトニングフォール》を使わせて良いプレイになる何かが相手の手札にある。レンジが0であることを示すプレイを相手が他にしていないなら、相手の手札にはおそらくより多くの脅威があり、それが喜んでカードを使わせる理由だろう。
  • 対戦相手にはこちらのトリックを破る術がなく、止むを得ずブッパした。あなたが例えば《ブラックフレイム》のような強力なカードでプレッシャーを与えている場合、相手にはあなたが何も持ってないことを祈ってプレイする以外の選択肢がないことが多い。


対AIにおいては、このレベルがあれば十二分に良い成績が残せる。
そして少なくともマスター帯のAI(レベル80-99)は最低限このレベルはアクティブなので、あなたがレベル0では勝ちにくい。

Level 2:(相手にとっての公開情報を超えて)私が何を持っていると相手は考えているか?

レベル2の思考は人々に良いことをもたらすのと同じくらいトラブルを引き起こす。その理由は多くの場合、このレベルを使える人が、いつレベル2を使い、いつ使わないかを理解できていないためだ。
一方、このレベルを使うことが正しいタイミングはたくさんある。一般則として、相手の立場から見て私が持っているのが理に適っているカードは何かをいつも心の中で考えておくようにしたい。そしてその時が来たら考えておいたことに従ってプレイする。
レベル2のプレイは出番がないことも多い。とはいえ出番が来たときにはレベル2のプレイはしばしばゲームを決める。それゆえ、相手にとっての公開情報から考えてあなたが持っていそうなカードは何か、をチェックするのに頭を使う価値は十分にある。


例えば以下のような考えがレベル2の判断に含まれる:

  • 前のターン、私は《ビームスマッシャー》を使えるマナを立てておき、相手はそれをケアした。私はこのターンも続けるべきだろうか?それとも別のプレイをすべきだろうか?
  • 前のゲームで相手は常に《ラケシス》をケアして動いていた。では、ゲーム2では自分のミニオンは攻撃をしかけにいってレストさせてしまってもいいだろうか?(マッチ形式の際)
  • 相手は《リボルバーコンドル》の1点をケアするためにチャンプブロックをしてくるだろうか?それともそれ以外で死ぬことはないからスルーするだろうか?
  • 私の《アクアコブラ》が2回殴れば相手を倒せるが、この《バルドロード》を相手の《モーホークザウラー》に使うのを1ターン待てるだろうか?あるいは次のターンに私が《バルドロード》を出してくることをケアしてこのターンブロックしてくる可能性があるので、今すぐ使うべきだろうか?

レベル1の思考では、こちらにとっての公開情報を超えて相手が何を持っているかを考える。それに対してレベル2の思考では、相手にとっての非公開情報(つまり、こちらの手札、デッキ)について対戦相手がどのようなレベル1の判断をするかを考える。
レベル3ではこれをさらに一歩先に進める。


このレベルが使えるならランキング100位以内を狙える実力者だろう


Level 3:相手が持っていると私が予想しているカードは何だと相手は考えているか?

これの意味を説明する前に、まずここで何が言われているかを理解しておこう。ここで我々が気にかけるのは、対戦相手の非公開情報(手札、デッキ)に関することだ。これらの情報について、このレベル3では対戦相手を自分の立場に置いて考える。
基本的にはレベル1と同じ問いを考えることになるが、判断するのは、対戦相手だったらこれらの情報をどのように活用するか、ということになる。


例えば以下のような考えがレベル3の判断に含まれる:

  • 相手が白マナを2枚立てているのは《リアクティブシールド》を使うためだろうか?それとも存在しない《リアクティブシールド》をケアさせて私のアタックを防ぐためだろうか?
  • 相手が《ライトニングフォール》を出してきたのは、私がこれを見て重要な無色のミニオンを出したところを2枚目の《ライトニングフォール》で打ち取るためだろうか?それとも本当に他に何もなくて苦し紛れに出したのだろうか?
  • 《ヤミーカクタス》でサーチしてきた《ウォールオブエアー》を唱えなかったのは何故だろうか?ここでギリギリまで攻撃させておいて、私が受け止めきれない量のミニオンを大量展開して勝つつもりだからだろうか?もしくは、こう考えさせるのが目的で、次のターンに《ヤクーツォーク》を着地させて《ウォールオブエアー》との二段構えの体制を築き、こちらが《ウォレス》を出して一斉攻撃しても凌げるようにするためだろうか?
  • 相手はこの《ダルティチェロンテ》によって除去を釣り上げようとしているのか?それともこれが対戦相手の最も危険な脅威で、私がここに《ビームスマッシャー》を使う価値があるのか?

レベル3の判断がブラフのメリットを量ることと無関係とは考えられない。そんな判断はあり得ないと言い切ってしまうことにはためらいがあり、思い切って少なくともこうは言っておこう:多くの場合レベル3の判断は、あるカードを相手が本当に持っているかどうか、またはブラフをしているのかどうかを見極めることと深く関連する。

レベル3ではレンジの指標が特に重要だ。プレイヤーたちがレベル3でミスをする最大の理由は対戦相手のレンジを誤認識(「見積りミス」とも言われる)することだ。これは以下のことが組み合わさって引き起こされる:

  • アクティブの指標を見逃す
  • 非アクティブの指標を見逃す
  • 偽の指標を真の指標だと受け取る

あるいはより追い詰められた状況として、以下のどちらかによってもミスは引き起こされる:

  • 囮にひっかかる
  • レベル4のプレイをされる

通常はレベル3を使うよりもレベル1を使う方が良い。特別な理由がなければ、その方が多くの場合に正しいプレイができるだろう。高いスキルを持ったプレイヤーでさえレベル2よりもレベル0を使うことの方がかなり多い!(元の話はmtgの話なので、デッキの枚数が60枚のうちの0-4枚しか入ってないカードは確率的にゼノンザードのような40枚の中の0~3枚をケアする時とは少し話が変わってくるかもしれない)

とはいえ、ゲームに勝つためにレベル3の判断が必要とされるタイミングは間違いなくある。
あるプレイをするのにレベル3を使うと決めるときには、対戦相手のレンジが少なくとも2はあることを確かめ、レベル0やレベル4のプレイに粉砕されるリスクと比べても、なおレベル3のプレイで得られるメリットの期待値(メリット×確率)が高いと確信を持つ必要がある。

Level 4:私が持っていることを相手が予想しているだろうと私が考えているカードは何だと相手は考えているか?

ここからは対人の話。それも通用し始めるのは環境がよほど成熟してきてから。なので、ここは飛ばして問題を見てもらっても構わない。

今回も、まずはじめにここで何が言われているかを考えよう。ベースになるのは、私が何を持っていると相手は考えているか(レベル2)だ。
レベル4で考えるのは、対戦相手がこちらの立場でレベル2の思考をしたらどうなるか、ということだ。

このタイプの思考は、両プレイヤーが普段よりも多くの情報にアクセスできるときに生じやすい。さらに、レベル4の思考はたいてい二択をともなう。つまり、ちょうど2つの選択肢があり、両プレイヤーが共にその状況に気づいているとき、どちらの選択肢を選ぶかに関わるのがレベル4だ。
以下に載せる例からも分かるように、いったんレベル4を超えれば、あとはどこまでいってもレベル4に戻ってくることになる。レベル5は単純にレベル4の反対の選択で、その後のレベルは全て対戦相手を一つ前のレベルにおき、その反対の選択をするだけだ。
レベル4の思考を理解することで、本質的に全てのレベルを理解したことになる。

レベル4の具体例をあげるのが困難だったので、ここは割愛させていただく。

問題


ここさえ耐え切れば100%の勝利が見えている盤面。
ここであなたが取るべき行動は?

ポリンでブロックする?しない?





正解


相手はセリカアラバスターを手札に加えているので、ここでブロックしてはいけない。

ポリンを除去できるカードはどれも4コストからなので、ベース移動+何かしらの除去(リワイングウィンド、イーグルランサー、ライトニングフォール、エレキタマス等)+リボルバーコンドルは11マナ必要なので不可能。(ウォーターシューターやベテランゴブリンだと可能だが、流石に黄色には入ってないと思われるので考慮外)
他に負けうるのはウォレスくらいになるが、ウォレスの場合はブロックしていようが問答無用で敗北するので考慮外です。

こっちの手札にもアラバスターがあるので少し簡単だったと思いますが、基本的にはこれがレベル1の思考となります。

実際のプレイでは私はこのカードをサーチしていることがわかっていたのでレベル0の思考で対処出来ましたが、自分もアラバスターを使ってるのに関わらず意識の外で、普通ならブロックしに行っていた場面でした。

レベル1といえ相当なカードが環境にあるので全てをケアするのは大変。特にダスカースやユグドラウォーカーのようなフリーコストとなり得るカードが加わるともう頭がおかしくなる。

そんな中でも勝てるところを落とさないように、環境デッキのテンプレリストを自分で作っておいて、逐一確認しながら戦うのが勝利への近道なのではないでしょうか。



この記事がマルチレベルシンキングでの思考プロセスを理解する助けとなれば幸いです。